オペレーションリーディング:氷菓 

「オペレーションリーディング:氷菓

 只今の時刻をもって、氷菓を読み終えたことを報告いたします!

 その感想を書いた上で、オペレーションリーディング:氷菓 を無事終えたこととします!

 よかったら最後までお付き合いください!

 

 氷菓を読んだのは、たしかこれで二回目。元々は京都アニメーション制作のアニメ版氷菓を見てからの小説だったので、自然と頭の中にキャラクターの声やイメージが入っていて大変読みやすかった。

 読み終わってみると、ほとんど原作に忠実だったアニメだなと思う。少しだけ違いがあるとするならば、主人公の折木奉太郎の若干のイメージだろうか。

 語尾に「だぜ」とつけるのは、なんともアニメ版の折木奉太郎らしくない。どちらかというと、「だぞ」の方がしっくりくる。細かい点かもしれないが、基本的に多くの面が忠実なだけあって、その一部分が妙に気になりもした。僕個人としては、アニメ版氷菓の描く折木奉太郎の方が親しみやすさを持てるような気もする。

 この小説、とても面白い。でも、それこそ現役の高校生が読んだとして、同じように面白いというかは微妙なところだとも思う。ミステリーといったジャンルなのかもしれないが、劇的な展開があるわけでも、ハラハラするような謎解きがあるわけでもない。表面的な出来事だけでこの小説の内容を”あらすじ”のようにしてまとめ上げてしまえば、対して興味をそそるような内容にはならないだろう。

 氷菓を読んで僕が面白いと感じるのは、折木奉太郎の高校生らしからぬ視点、思考に加えて、それこそ絶対に高校生では存在しないような教養の深さ、ユーモアを持ち合わせる福部里志の存在だ。それらのやりとりが人の心の在り方を深く掘り下げ、なるほどと思わせてくれる。灰色を好む折木奉太郎の心境や、深いところで何か薄暗さを感じさせる福部里志。それらに比べると千反田える伊原摩耶花は割とシンプルなキャラクターに感じるが、二人が曲者なだけにすっきりしていていいと思う。これ以上登場人物を難解な性格にしてしまったら、それこそ闇鍋のようなもので、焦点がうまく定まらないだろう。

 4人の中でよりもっともメインキャラクターに近いのは間違いなく折木奉太郎千反田えるだろうが、福部の存在が間違いなく折木奉太郎という人物を際立たせていると思う。

 千反田がわかりやすく折木奉太郎を照らす太陽であるならば、福部はその裏で静かにその輪郭を照らす月のような存在だと思う。

 摩耶花に関しては3人にない部分を合わせ持ったキャラクターなので、当然必要で重要なキャラクターなのだが、3人に比べるとどうしても存在感は薄れてしまう。

 それにしても。

 氷菓が刊行されたのは2001年。今現在2022年なので。21年も前ということになる。仮に氷菓が実話で、その登場人物が今現在僕らと同じように生活しているとすると、考えると、切なさのようなものをどうしても感じてしまう。

 ここで記された彼らの日常もまた、歴史的遠近法によって古典となったのだろう。彼らが使っていた部室はもしかしたら別の部室になっているのかもしれないし、登場人物の誰かはもう結婚して子供がいるのかもしれない。たまには高校生活のことを思い出し、こんなこともあったねと笑っているのだろうか。

 高校生活といえば、僕からしたら大体10年前。学校生活のことを考えると、どうにもさままざまな感情が呼び起こされて、だめだね。

 氷菓、とても面白かった。 これにてオペレーションリーディング:氷菓 了!

 次はもちろん オペレーションリーディング:愚者のエンドロール スタート!